「老健の理学療法士は、きついって聞くけど本当?」
「老健に転職したいけど、仕事内容がイメージできない」
「病院と比べて、何が違うの?」
- 老健で働くのがきついのかどうか、実際のところを知りたい
- 入所・通所・訪問リハなど、具体的な仕事内容や1日の流れを知りたい
- 老健に向いているかどうか、判断する材料がほしい
そんな風に感じていませんか?
老健の働き方は、施設によってかなり違います。イメージだけで決めてしまうと、「思っていたのと違った」となりやすいので、実際に働いた人の話を知っておくと安心です。
大阪在住、理学療法士10年目のメロンです。病院→介護老人保健施設(老健)→訪問看護ステーションへと2回の転職を経て、年収100万円アップを達成しました。老健では、入所・通所・訪問リハビリを約3年経験しています。
この記事では、老健で約3年働いた経験から、仕事内容と1日の流れ、きつかったこと、きつくなかったことを、正直にまとめました。読み終える頃には、老健が自分に向いているかどうかを判断しやすくなるはずです。
結論からお伝えすると、老健のきつさは、施設のタイプで大きく変わります。私の勤務先では、担当人数の多さ、時間の短さ、病棟スタッフとの連携、リハ以外の業務が大変で、在宅復帰率のプレッシャーや書類の多さは大きな負担ではありませんでした。
先に結論:私の老健で「きつかったこと・きつくなかったこと」
| きつかったこと | きつくなかったこと |
|---|---|
| 担当人数が多い(入職時は覚えるのが大変) 1人に関わる時間が短く、リハが単調になりやすい こだわりの強い利用者さんへの対応 病棟スタッフとの意見の擦り合わせ リハ以外の業務(離床介助・見守りなど) |
在宅復帰率のプレッシャー(在宅復帰が少ない施設でした) 書類の量(病院よりかなり少ない) 認知症の方への対応(特別にきつくはなかった) |
出典:筆者の実体験(個人の事例)。老健は施設によって働き方が大きく変わります。
老健の理学療法士の仕事内容(私の場合)
私が働いていた老健は、入所と通所(デイケア)に加えて、訪問リハビリも行っていました。担当は次のような分け方でした。
- 入所・通所リハビリが仕事の中心
- 訪問リハビリは、トータルの件数が少なかったので、もう一人のセラピストと隔週で交代して担当
- 訪問のない週は、入所と通所のリハビリを担当
1日の流れ(訪問のない週)
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 8:20 | 出勤・仕事の準備 |
| 9:00 | 病棟の申し送りに参加 |
| 9:10〜12:00 | 入所または通所のリハビリ(午前は平均4人) |
| 12:00〜13:00 | 昼食 |
| 13:00〜16:40 | 入所または通所のリハビリ(午後は平均6人) |
| 17:00 | 退社 |
出典:筆者の実体験(個人の事例)。朝と夕方に病棟の申し送りに参加していました。
1日に見るのは約10人で、リハビリはすべて1人1単位(20分)でした。通所の要支援の方は10分です。
訪問がある週は、1日平均2件(午前と午後に1件ずつ)で、1件あたりリハビリ40分+移動20分(原付または自転車)でした。
週1回の業務と書類
- 集団リハビリ:週1回、各病棟で20分(事前に15分ほど離床介助をします)
- 定期カンファレンス:週1回30分(リハスタッフは当番制で1人が参加)
- 書類:カルテ、月1回の計画書、カンファレンスでのリハコメント、タイムテーブル、次週のスケジュール作成(スキマ時間にこなします)
訪問リハビリの内容や制度については、こちらの記事で詳しく書いています。
【体験談】訪問リハビリの理学療法士の仕事内容|病院との違い・インセンティブ・転職前の確認ポイント
老健で「きつかったこと」5つ
1担当人数が多い
1日に約10人を担当するので、特に入職したときは、利用者さんを覚えるのが大変でした。
21人に関わる時間が短く、リハが単調になりやすい
1人20分(通所の要支援の方は10分)なので、できるリハビリは限られます。ストレッチ、ROM、動作練習を全部やろうとすると、時間が足りません。どうしても内容が単調になりやすいと感じました。
3やり方にこだわりのある利用者さん
長年、入所や通所をしている方の中には、昔からのリハビリのやり方にこだわる方もいます。他のメニューを提案しても嫌がられることがあり、マッサージだけしてほしい方や、限られた場面での杖歩行練習だけを希望する方もいました。
4病棟スタッフとの意見の擦り合わせ
看護師さんや介護士さんとのやりとりが多く、リハビリの目線で提案しても、病棟の目線では負担が増えるため、納得してもらえないことがありました。これは「きつい」というより、自分がリハビリの目線になりすぎていたと反省した部分です。詳しくは後で書きます。
5リハビリ以外の業務
病棟スタッフの高齢化やマンパワー不足で、離床介助や見守り、食事の準備の手伝い、施設イベントへの参加などが多くありました。私は「仕事」と割り切っていましたが、不満に思うリハスタッフもいました。
体力面(電動ベッドがなく介助量が多いこと、古い施設の空調など)については、こちらの記事で詳しく書いています。
【体験談】訪問リハビリ・病院・施設(老健)どっちがいい?理学療法士が3つの職場を経験して分かった選び方
老健で「きつくなかったこと」3つ
一方で、「老健がきつい」と言われる理由として挙がりやすい次の3つは、私の勤務先では大きな負担ではありませんでした。
- 在宅復帰率のプレッシャー:私の老健は、在宅復帰が少ない、特養のような雰囲気の施設だったので、プレッシャーはありませんでした
- 書類の量:病院と比べると、かなり少なかったです。長期入所の方が多く、変化が少ないので、書類を大きく書き換えることもあまりありませんでした
- 認知症の方への対応:割合は多かったですが、特別にきつくはありませんでした。安静度を守れない、同じ話を何回もする、といったことはどこの職場でもあります
ただし、これは私の勤務先の場合です。在宅復帰に力を入れている老健や、書類の多い老健では、まったく違う働き方になる可能性があります。応募する前に、施設の方針は必ず確認してください。
病棟スタッフとの連携で学んだこと
老健では、連携する相手が看護師さんと介護士さんがほとんどでした。安静度や介助量の情報共有が中心で、「介助量が増えてきたので、リハビリでしっかり運動してほしい」といった、介助する側の目線の相談が多くありました。
リハビリではADLの向上を目指したい一方で、病棟スタッフは転倒のリスクを心配して、消極的な意見になりがちです。この擦り合わせが、一番大変でした。そこで学んだのは、次のことです。
- 病棟スタッフの協力がないと、施設でのADL向上は不可能(病院でも同じです)
- リハビリの意見を押し付けるだけでは、絶対にうまくいかない
- 普段からコミュニケーションを取り、信頼される関係を作っておく
- 相手の負担と責任を踏まえて相談する(例:おむつ対応の方をトイレ誘導してほしい、という提案は、介助の負担が増え、失禁したときの始末は病棟スタッフがします。転倒などの事故が起きれば、病棟スタッフの責任になることも踏まえて、安静度を相談します)
老健で得たもの、やりがいの正直なところ
利用者さんは、廃用症候群や認知症の方が多く、病期としては維持期ばかりでした。正直なところ、機能回復の可能性が乏しい方が多く、リハビリの時間も短いので、病院や訪問のようなやりがいを感じる機会は少なかったです。
一方で、老健での経験は、その後の訪問看護に大きく活きました。
- 訪問リハの業務内容や流れが、訪問看護でもそのまま活きた
- 退院して地域で暮らす人が、どんな生活をして、何に困っているのかが分かるようになった
- リハビリ以外の目線で、物事を考えられるようになった
また、老健ではシフトや書類の管理にも携わりました。シフトや書類の変更は、制度や業務規則に反していないか、看護師長や事務長に確認してもらいながら進めるのが大変でした。「リハスタッフが楽できるように」ではなく、「業務を効率化して、利用者さんやスタッフが快適に過ごせるように」と伝え、普段から病棟や事務所の雑務を手伝って、協力してもらえる関係を作りました。この経験は、職務経歴書にも活かしています。
【体験談】理学療法士の職務経歴書の書き方|テンプレ+エージェントの添削で指摘された3つのこと
理学療法士が訪問看護へ転職して年収100万円アップ、その裏側にあった大変さとやりがい【体験談】
老健に向いている人・向いていない人
ここまでの経験から、私が感じた向き不向きを整理します。
向いている人
- 地域での生活に密着したい
- 病棟スタッフなど、他職種と協力しながら調整するのが苦ではない
- リハビリ以外の業務も、「仕事」と割り切れる
- 長期間、同じ利用者さんとじっくり関わりたい
向いていない人
- 機能回復をどんどん進めたい
- 1人に時間をかけて、じっくりリハビリをしたい
- リハビリ以外の業務(離床介助や見守りなど)に抵抗がある
見学・面接で確認したいこと
老健は施設によって働き方が大きく変わるので、応募する前に次のことを確認しておくと安心です。
- 1日に担当する人数と、1人あたりのリハビリ時間
- リハビリ以外の業務の範囲(離床介助、見守り、食事の準備、施設イベントなど)
- 在宅復帰にどのくらい力を入れている施設か
- 病棟スタッフとの関係や、連携の仕方
- 設備(電動ベッドの有無、空調など)
まとめ:老健のきつさは「施設のタイプ」で変わる
- 私の老健では、担当人数・時間の短さ・病棟スタッフとの連携・リハ以外の業務が大変だった
- 在宅復帰率のプレッシャー、書類の量、認知症の方への対応は、大きな負担ではなかった(施設による)
- 維持期が中心で、病院や訪問のようなやりがいは少ないが、訪問や他職種の視点に活きる経験になった
- 応募前に、担当人数・リハ以外の業務・在宅復帰への方針などを確認する
老健は「きつい」と一言で言えない職場です。自分が大事にしたいこと(じっくり関わる、地域の生活、機能回復など)と、施設の方針が合うかを、事前に確認してみてください。
気になる老健があれば、転職エージェントに相談すると、求人票に出ない施設の雰囲気や働き方の情報も聞けます。
【PR】以下のボタンは、広告(アフィリエイトリンク)を含む場合があります。紹介しているサービスは、私が実際に利用したものです。
