- 「病院で働き続けていいのか、なんとなくモヤモヤしている…」
- 「訪問看護に興味はあるけど、実際どうなんだろう…」
- 「給料が上がるとは聞くけど、本当のところはどうなの…」
訪問看護・訪問リハビリへの転職は、良いことも大変なことも含めてリアルに語られる機会が意外と少なく、特に「実際に年収がいくら変わったのか」まで具体的に書かれている情報はほとんどありません。
読み終える頃には、訪問看護転職の具体的なイメージが持てて、自分に合っているかどうかを判断しやすくなっているはずです。今、病院での働き方に少しでもモヤモヤを感じているなら、ぜひ最後まで読んでみてください。
病院で働き続けることに感じていた違和感

病院で理学療法士として働いていた頃、ADL(日常生活動作)が改善し退院した患者様が、何度も再入院してくることに疑問を感じていました。「これは病院にいるだけでは分からない原因が、地域(施設や自宅)での生活の中にあるのではないか」。そう思うようになったのが、最初のきっかけです。
いきなり訪問看護ではなく、まず老健を経由した理由
はじめから訪問看護で働きたかったわけではありません。「地域の生活」を知りたいという思いから、まずは上司に相談して介護老人保健施設(老健)へ異動しました。老健では施設入所やショートステイ、デイケア、訪問リハビリを経験し、地域での生活や課題を知ることができました。
その中でも、自宅での生活に密着した訪問リハビリが一番楽しく、「訪問業務に集中したい」という気持ちと「年収を上げたい」という気持ちの両方から、訪問看護ステーションへの転職を決めました。訪問看護に興味はあるけれど、いきなり飛び込むのは不安、という方には、老健や訪問リハビリを含む施設でワンクッション置くという選択肢もおすすめです。
2回の転職で年収はどう変わったか
ちょうど子どもが生まれたタイミングでもあったので、「年収を増やしたい」という思いも、訪問看護への転職を後押しする理由のひとつでした。
訪問看護の1日のスケジュール
転職後、実際にどんな1日を過ごしているのか、具体的にイメージが湧くように紹介します。
| 時間 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 8:00 | 自宅を出発 | 自転車で通勤 |
| 8:20 | 職場に到着 | 着替え・準備 |
| 8:30 | 朝礼・訪問準備 | スケジュールや利用者情報を確認 |
| 9:00〜12:00 | 午前の訪問 | 1件約1時間(訪問40分+移動20分) |
| 12:00〜12:45 | 昼休憩 | 休憩・昼食 |
| 13:00〜17:00 | 午後の訪問 | 空き時間に書類作成・会議・研修 |
| 17:00 | 退社 | 残業はほぼなし |
1日の平均訪問件数は5件ほどです。訪問と訪問の合間の空き時間には、書類作成や会議、研修といった事務作業をこなします。移動手段は貸与されたものを使っていて、老健時代は原付、訪問看護に転職してからは電動自転車です。
訪問看護で大変だったこと5つ
良いことばかりお伝えするのは公平ではないので、正直に大変だったことも紹介します。
- 体力仕事であること
猛暑の日も雨の日も、外に出て移動しなければなりません。私はもともと外出が好きなタイプだったので、リフレッシュになることも多かったです。 - 設備や情報が病院より少ないこと
病院のように整ったリハビリ室はなく、レントゲンなどの検査結果や既往歴、手術の詳細といったカルテ情報も少ないため、ある程度推測しながらリスク管理をする必要があります。医師や薬剤師が現場にいないので、急変があれば自分で緊急性を評価して対応しなければなりません。 - 自分の職場ではなく、相手の生活の場にお邪魔する感覚があること
病院では患者様が自分の職場に来てくださいますが、訪問はご自宅や施設という相手の生活の場に、こちらからお邪魔する立場です。プライバシーへの配慮や、ご家庭ごとに異なるこだわりへの対応が欠かせません。訪問看護は「看護」としての訪問なので、お薬やバイタルなど看護に近い役割も期待されます(もちろん医療行為はできません)。 - 職場以外の人とのコミュニケーションが必須なこと
ケアマネージャーやご家族、他のスタッフとしっかり連絡・すり合わせをしないと、齟齬が生まれてトラブルになることもあります。 - 訪問ルートを覚えるのが大変なこと
慣れれば問題ありませんが、その地域の土地勘がない方や方向音痴の方は、最初は苦労するかもしれません。
それでも訪問看護に転職して良かったこと5つ
大変なことも多い一方で、それを上回るやりがいがありました。
- 地域で暮らす人のリアルな生活が分かること
入院中は真面目にリハビリしていても、退院して家に戻ると運動しなくなったり、間違った自己流のトレーニングをしていたり、家族に気を遣って家事をしなかったり(逆に無理をしてしまったり)する実態が見えてきます。 - 家の環境が原因の不調に気づけること
姿勢の悪い体勢でテレビを見続けていたことが原因の腰痛が、椅子の向きを変えるだけで解消したり、劣化したマットレスが原因の腰痛が、マットレスを交換するだけで解消したりすることがあります。「入院して良くなるのは、リハビリの効果ではなく単に環境が変わっただけ」ということも多いと気づかされました。 - リハビリ以外の視点が身につくこと
看護師目線、ご家族目線、ケアマネ目線を知ることができ、他職種の仕事内容や役割への理解も深まります。医療保険(難病疾患など)や介護保険制度にも自然と詳しくなります。 - 応用力や判断力が身につくこと
一人でさまざまな環境に飛び込むことになるので、その場での判断力が鍛えられます(裏を返せば、基礎的な臨床能力やリスク管理力がないと大変、ということでもあります)。 - 「その人」全体を見る視点が身につくこと
病院時代は身体機能やADLだけを見ていればいいと思っていましたが、本当にその人の課題を解決するには、性格や環境、家族との関係性、1日のルーティンまで含めた全体像を知る必要があると気づきました。「この方には朝食後に運動を勧めた方がやってくれそう」「スクワットより散歩の方が好きそう」といった、個別性に応じた関わり方ができるようになったのは、訪問だからこそ得られた財産だと思っています。
訪問看護がおすすめな人・あまりおすすめできない人
ここまで読んで「自分に合っているか」が気になっている方もいると思うので、私の実感ベースで整理してみます。
おすすめな人
- 外に出て体を動かすのが好きで、体力にも自信がある人
- 身体機能だけでなく、生活背景まで含めた「地域」でのリハビリに興味がある人
- 看護師やケアマネジャーなど、リハビリ職以外の多角的な視野を持ちたい人
- 今の働き方に違和感や不安を感じている人
- 限られた環境でも工夫しながら対応するのが得意な人
- 普段から家事をしていて、生活動作の感覚をつかんでいる人
- 頑張った分だけ収入アップにつなげたい人
あまりおすすめできない人
- 病院のリハビリ室のような、ある程度整った環境でリハビリをしたい人
- 今の病院や施設内での業務に十分満足している人
- 回復期病棟のように、一人の患者様にじっくり長い時間をかけてリハビリをしたい人(訪問は制度上、時間や回数に限りがあります)
- 一人で判断したり、責任を負うことにプレッシャーを感じる人
- 人とのこまめな連絡・調整が苦手な人
- 道を覚えるのが苦手、方向音痴な人
どちらが良い悪いという話ではなく、自分がどちらのタイプに近いかを知ることが、後悔しない選択につながると思います。
まとめ: モヤモヤを感じているなら、一歩踏み出してみよう
病院での「なぜ何度も再入院するのだろう」という違和感から、老健を経由して訪問看護ステーションへ。2回の転職を経て、年収は350万円から450万円へと100万円アップしました。大変なことも多い仕事ですが、それ以上に得られる視点ややりがいがあります。
